
世界で急増する女性の植毛需要|ISHRS最新データで読み解く
女性の植毛患者数は世界的に急増している。 ISHRS(国際毛髪外科学会)の2025年調査によると、2021〜2024年で女性患者数は16.5%増加した。
この記事では、最新の国際統計をもとに女性の植毛需要の実態を整理する。
女性患者は全体の15.3%に拡大
ISHRSの2025年Practice Censusが公表した最新データは以下のとおり。
| 項目 | 2021年 | 2024年 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 女性患者の割合 | 12.7% | 15.3% | +2.6ポイント |
| 女性患者数の増加率 | — | — | +16.5% |
| 非頭皮部位(眉毛等)の希望 | 17% | 21% | +4ポイント |
出典: ISHRS 2025 Practice Census
男性が84.7%を占める構造に変わりはない。 しかし女性の伸び率は男性を上回るペースで拡大している。
世界の植毛市場は2033年に約450億ドル規模へ
植毛市場全体も急成長している。
| 年 | 市場規模(USD) |
|---|---|
| 2024年 | 約115億ドル |
| 2033年(予測) | 約448億ドル |
| 年平均成長率(CAGR) | 16.25% |
出典: Straits Research「Hair Transplant Market Report 2033」
この成長を牽引する要因のひとつが、女性患者の増加だ。
なぜ女性の植毛需要が増えているのか
1. 女性の薄毛認知が広がった
FAGA(女性型脱毛症)は以前「仕方がないもの」と見過ごされていた。 近年はSNSやメディアで女性の薄毛治療が公に語られるようになった。
日本でもリクルートの「薄毛に関する意識調査2024」で、女性の薄毛に悩む割合が増加傾向にあると報告されている。
2. 眉毛・生え際など「美容目的」の植毛が拡大
ISHRSの2024年データでは、女性患者の21%が頭皮以外の部位への植毛を希望している。
特に多いのは以下の部位。
- 眉毛: 女性患者の12%が希望(ISHRS 2024)
- 生え際のデザイン修正: 小顔効果を狙う
- まつ毛: 一部のクリニックで実施
「薄毛の治療」から「美容の一環」へと植毛の位置づけが広がっている。
3. FUE技術の進歩で傷跡が目立たなくなった
従来のFUT法(メスで切る術式)は線状の傷跡が残る問題があった。 FUE法(1株ずつくり抜く術式)の普及により、傷跡が極めて目立ちにくくなった。
これが「傷跡を気にする女性」のハードルを下げた。
4. SNSで体験談が共有されやすくなった
Instagram・YouTubeで女性の植毛体験談が増えている。 「自分もできるかも」と思う女性が増えた結果、カウンセリング件数が伸びている。
女性の植毛が難しいとされる理由
女性の植毛需要は増えているが、男性より難しい側面がある。
ドナー(後頭部)の安定性の問題
男性のAGAは前頭部・頭頂部が薄くなり、後頭部は維持される。 この後頭部の毛を「ドナー」として移植に使う。
一方、女性のFAGAはびまん性(全体的にまんべんなく薄くなる)の場合がある。 この場合、ドナーとなる後頭部も弱くなっており、移植しても生着しにくい。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも、女性の自毛植毛は推奨度C1(行ってもよい)とされており、男性より慎重な適応判断が求められる。
Ludwig分類で適応が変わる
女性の薄毛はLudwig分類で3段階に分けられる。
| 分類 | 状態 | 植毛の適応 |
|---|---|---|
| Ludwig I | 頭頂部が軽度に薄い | 適応あり(条件次第) |
| Ludwig II | 頭頂部が中程度に薄い | 適応あり(ドナー要確認) |
| Ludwig III | 頭頂部が広範囲に薄い | 適応困難な場合が多い |
後頭部のドナーが安定しているかどうかが判断の鍵になる。
日本における女性の植毛の現状
女性患者の割合はまだ少ない
日本では女性の植毛患者の公式統計は公表されていない。 しかし、ISHRSの国際データ(15.3%)と比較すると、日本はさらに低いと推測される。
理由は以下のとおり。
- 「植毛=男性のもの」というイメージが根強い
- 女性の植毛を積極的にPRするクリニックが少ない
- FAGAの認知自体がまだ低い
今後の伸びしろは大きい
逆に言えば、日本の女性植毛市場は世界の平均成長率(16.5%)以上に伸びる可能性がある。
特に以下の領域は需要が見込まれる。
- 眉毛植毛: アートメイクの代替として
- 生え際のデザイン修正: 額の形を整える
- 出産後の薄毛: ホルモン変化による一時的な脱毛への対応
よくある質問
Q. 女性でもFUE植毛を受けられますか?
はい。ドナー(後頭部)の毛の状態が安定していれば受けられる。 ただし、びまん性に全体が薄い場合は適応外になることもある。 まずは専門の医師に相談することが重要。
Q. 女性の植毛費用は男性と違いますか?
費用体系は基本的に同じ(グラフト数×単価)。 ただし女性はノンシェーブンFUE(刈り上げない手術)を希望することが多く、その場合は追加費用が発生するクリニックもある。 一般的な相場は500グラフトで40〜80万円程度。
Q. 植毛以外の女性の薄毛治療は?
日本皮膚科学会ガイドラインでは以下が推奨されている。
- ミノキシジル外用(1%): 推奨度A(強く勧められる)
- パントガール: サプリメント(エビデンスは限定的)
- PRP療法: 自己血小板を注入(研究段階)
植毛は最終手段ではなく、薬物治療と併用するのが一般的。
まとめ
女性の植毛需要は世界的に拡大している。 ISHRS 2025年調査で、女性患者は2021〜2024年に16.5%増加した。
背景には、FAGA認知の拡大、眉毛など美容目的の植毛の普及、FUE技術の進歩がある。
日本ではまだ女性の植毛は一般的ではないが、今後の成長余地は大きい。 女性の薄毛に悩む方は、まず専門の医師に相談することが第一歩。
参考文献:
- ISHRS 2025 Practice Census Results
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- Straits Research「Hair Transplant Market Report 2033」
- リクルート「薄毛に関する意識調査2024」



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