
毛周期基礎知識AGA発毛髪の仕組み
毛周期を理解する|成長期・退行期・休止期と薄毛の関係
髪は一生伸び続けるわけではない
髪の毛は一本一本が独立した「生死のサイクル」を持っています。このサイクルを**毛周期(ヘアサイクル)**と呼びます。薄毛対策を考える上で、毛周期の理解は必須の知識です。
毛周期の3つのフェーズ
1. 成長期(アナゲン):2〜6年
- 毛母細胞が活発に分裂し、髪が伸びる時期
- **頭髪全体の約85〜90%**がこのフェーズ
- 1日0.3〜0.4mmずつ伸長
- 期間が長いほど長く伸びる(個人差の理由)
2. 退行期(カタゲン):2〜3週間
- 毛母細胞の分裂が停止
- 毛根が縮小し、毛乳頭から離れていく
- 頭髪全体の約1%がこのフェーズ
- 髪の成長が止まる短い準備期間
3. 休止期(テロゲン):3〜4ヶ月
- 毛根が完全に活動を停止
- 毛は頭皮にゆるく残るが、いずれ抜ける
- 頭髪全体の約10〜15%がこのフェーズ
- この期間の後、新しい毛が生えて古い毛が押し出される
正常な1日の抜け毛本数
- 健康な成人:50〜100本/日
- 100本を超える日が続く:要注意
- 200本以上:明確な異常(休止期脱毛等)
日によって抜け毛が多かったり少なかったりするのは正常です。シャンプー時はそれまで溜まった休止期の毛がまとまって抜けるため、多く見えます。
AGAが毛周期を壊す仕組み
AGA(男性型脱毛症)では、毛周期が異常をきたします。
正常な毛周期
- 成長期:4年
- 結果:髪が長く太く育つ
AGAの毛周期
- 成長期:数ヶ月〜1年に短縮
- 結果:髪が十分に育つ前に抜けてしまう
- 新しく生えてくる毛も細く短い(軟毛化)
- 徐々に毛包自体が小型化
この現象を**ミニチュア化(miniaturization)**と呼びます。毛包がミニチュア化し尽くすと、最終的に毛包自体が消失し、二度と毛が生えなくなります。
DHT(ジヒドロテストステロン)の役割
AGAの根本原因はDHTというホルモンです。
テストステロン
↓ 5αリダクターゼ
DHT(ジヒドロテストステロン)
↓ 毛包のアンドロゲン受容体に結合
成長期の短縮・毛包のミニチュア化
フィナステリド・デュタステリドは5αリダクターゼを阻害し、テストステロンがDHTに変換されるのをブロックする薬です。
移植毛は毛周期の「生着」を通過する
植毛手術では、移植した毛の毛周期が特殊な経過を辿ります。
術直後〜2週間
- 移植毛の毛幹が1〜2mm残る状態
- 毛根は生きているが、毛は短い
2週間〜2ヶ月(ショックロス期)
- 移植毛が一時的に抜け落ちる
- これは「強制的な休止期」に入るため
- 毛根自体は生存している
- この時期に「植毛失敗」と誤解する患者が多い
3〜6ヶ月
- 新しい成長期の髪が生え始める
- 最初は細く短い
9〜12ヶ月
- 通常の成長期に入り、太く長く育つ
- 最終的な仕上がりが見える
毛周期を守る生活習慣
毛周期の成長期を最大限維持するための生活習慣:
- 質の良い睡眠:成長ホルモンの分泌を促進
- タンパク質・鉄・亜鉛の十分な摂取:毛母細胞の分裂をサポート
- 頭皮の血流維持:適度な運動・マッサージ
- 慢性ストレスの回避:コルチゾールは成長期を短縮する
- DHT対策:AGAの場合はフィナステリド等
薄毛の自己診断:毛周期の観点から
以下のチェックで毛周期の異常が疑われます:
- 抜け毛に短く細い毛が増えた → 成長期が短縮している可能性
- 枕の抜け毛が200本以上 → 休止期脱毛またはAGA
- 生え際の産毛化が進行 → 毛包のミニチュア化
- 頭頂部の地肌が透けてきた → 毛の太さの減少
まとめ
毛周期は髪の健康を理解するための基本概念です。AGAは「毛が抜ける病気」というより「毛周期の成長期が短くなる病気」です。この視点を持つと、なぜフィナステリドが効くのか、なぜ植毛毛は生え続けるのかがクリアに理解できます。
免責事項:本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。治療については必ず医師にご相談ください。



質問・コメント