FUEとFUTの違いを医師が本音で解説|どちらを選ぶべきか
2026-03-19 / 植毛ドクターK
FUEとFUTの最大の違いは「採取方法」
自毛植毛の術式はFUEとFUTの2種類です。 どちらも後頭部の毛包を薄毛部分に移植します。 違いは毛包の「採り方」だけです。
- FUE(Follicular Unit Extraction):直径0.8〜1.0mmのパンチで毛包を1つずつくり抜く方法
- FUT(Follicular Unit Transplantation):後頭部の皮膚を帯状に切り取り、顕微鏡下で毛包を分離する方法
現在の世界的な主流はFUEです。 ISHRS(国際毛髪外科学会)の2022年調査でも、FUEの実施割合は約73%と報告されています。
FUEのメリット・デメリット
FUEのメリット
- 傷跡が直径1mm未満の点状で目立ちにくい
- 術後7〜10日で日常生活に復帰しやすい
- 坊主や短髪スタイルでも傷が見えにくい
FUEのデメリット
- 1グラフトずつ採取するため手術時間が長い
- 3,000グラフト以上の大量移植は複数回に分かれる場合がある
- FUTと比べ費用が1〜2割高い傾向がある
FUTのメリット・デメリット
FUTのメリット
- 一度に4,000グラフト以上の大量採取が可能
- 顕微鏡下で毛包を分離するため生着率が安定しやすい
- 1グラフトあたりの費用がFUEより抑えられる傾向
FUTのデメリット
- 後頭部に10〜25cmの線状瘢痕(せんじょうはんこん)が残る
- 抜糸まで約2週間かかりダウンタイムがやや長い
- 短髪にすると傷跡が露出しやすい
FUEとFUTの比較表
| 比較項目 | FUE | FUT | |---------|-----|-----| | 傷跡 | 点状(1mm未満) | 線状(10〜25cm) | | 回復期間 | 約7〜10日 | 約2〜3週間 | | 1回の最大グラフト数 | 約2,000〜3,000 | 約3,000〜4,000以上 | | 費用(1グラフト) | やや高め | やや安め | | 短髪への対応 | しやすい | 傷が見える場合あり | | 世界的な主流度 | 約73%(ISHRS 2022) | 約27% |
どちらを選ぶべきか:3つの判断基準
1. 必要なグラフト数で判断する
2,000グラフト以下ならFUEが適しています。 4,000グラフト以上が必要な場合はFUTの方が効率的です。 間の範囲は医師との相談で決めるのが一般的です。
2. 希望する髪型で判断する
短髪やスポーツ刈りを好む方にはFUEが向いています。 常にある程度の長さを保つ方はFUTも選択肢に入ります。
3. ダウンタイムの許容度で判断する
仕事の都合などで早期復帰が必要な場合はFUEが有利です。 FUTは抜糸が必要なため回復にやや時間がかかります。
よくある質問(FAQ)
Q. FUEとFUTを組み合わせることはできますか?
はい、可能です。 1回目にFUTで大量採取し、2回目以降にFUEで修正する方法があります。 ドナー資源を最大限に活用する戦略として専門医の間で提案されることがあります。
Q. FUEの傷跡は本当に見えませんか?
完全に「ゼロ」ではありません。 ただし直径1mm未満の白い点が散在するだけのため、坊主にしない限りほぼ分からないとされています。
Q. 生着率に差はありますか?
熟練医が行った場合、どちらも生着率90〜95%が目安です。 術式よりも医師の技術と毛包の取り扱いが生着率を左右するとされています。
まとめ:迷ったらまずカウンセリングへ
- 現在の世界的主流はFUE(ISHRS 2022調査で約73%)
- FUEは傷跡が小さく回復が早い
- FUTは大量移植に強く費用が抑えられる
- 最適な術式は薄毛の程度と希望グラフト数で異なる
- 必ず専門医のカウンセリングで判断してもらうことが大切
参考文献:ISHRS Practice Census(2022)、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」